三、お祓いについて
1.お祓いで振っているものを何と呼ぶの?
大麻といいます。木の棒に紙垂(紙を折り垂らしたもの)を付け、麻の緒を結んであります。
榊の枝に紙垂・麻緒を付けて用いる場合もあります。これを左右左と振ることにより、穢を吸い取るのだと考えられています。
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2.榊を玉串と呼ぶのはなぜ?
タマは「霊」または「魂」の意で、クシは「細長い棒」を表します。
このタマクシ・タマグシは本来は神威(神様のお力)を戴くためのものでした。
明治以降、現在のように神前に捧げるものと改められました。なお結婚式などおめでたい場では紅白の紙垂を用いることもあります。邸内社のまつりなどに捧げる目的で個人的に玉串を作る場合もあります。
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3.祓うってどういうこと?
万葉集に「中臣の太祝詞言ひ祓え贖ふ命も誰がために汝」(中臣の大祓詞を唱えて祓って酒を捧げて長命を願うのも誰のためであろうか。あなたのためだよ。)
という歌があります。作者は大伴家持で、題詞には「酒を造る歌」とあります。これはもともとは祓えが贖物(埋め合わせとするもの)を提出し、太祝詞(大祓詞)を唱えて公的に行われたものであることをほのめかしている歌です。
ところが徐々に私的な行為である禊との区別がつかなくなります。それは共に罪・穢れ・災いなど取り除こうとするものであったためです。
今日では少し形は変わっていますが、神社で神職がを唱え修祓(お祓い)を行い、神様に祝詞を申し上げてそれらを除いて頂くのが一般です。
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4.どんなことでも祓えばいいの?
祓は罪・穢れ・災いなどを対象とします。自分の周辺にそうしたものがある場合は祓えを行うとよいでしょう。
ただし時と場合によっては、必ずしも祓えで事が足りるわけではありません。
心構えや生活での取り組みにも大切な意味があります。
たとえば新車のお祓いをしても運転する人の心掛けが悪ければ意味がありませんし、不慮の死者があったからと言って闇雲に祓っても何の成果も得られません。この場合は魂まつりをしてから祓わなければならないからです。
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5.祓と禊はどうちがうの?
禊は川や海の水に身を浸すことです。水によって身を洗い清め、罪・穢を除く事です。
祓は度合いに応じて科料(償いのしなもの)を差し出したり、形代(人形)などの祓つ物に罪・穢を移してそれらを取り除こうとしたものです。
禊は私的に行われることが多く、祓は公的に行われました。今日ではどれも公私にわたって行われます。
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6.厄年はどう過ごせばいいの?
「厄」は本来は「神役」の意味であったと考えられます。
「神役」とは「当屋」「年番」「一年神主」などと呼ばれるもののことです。例えるなら祇園祭の稚児さんのように籤引きや順番に当たって、神まつりに奉仕する役割のことです。
普通は一年間見習いを務め、二年目に本番を迎え、三年目に後見役に回ります。それを免除していただくのが「役除」「役祓」「役流」などと呼ばれるものです。地方によっては「神役」を免除して頂くために、近郷近在の人々を呼び集めて散財するという例もあります。神様の障・祟を恐れたためと思われます。
従って厄年に当たったら「神役」の年なのだと心に刻んで一年を過ごすとよいでしょう。もちろん免除して頂くのですから神社でご祈祷を受け、出来れば進んで地域のお祭りのお手伝いをしたり、心に掛けて神社にお参りするのがよいでしょう。
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